哲学って何? という人の為にその意味を整理してみた(1)
もうどーいは。
折々四季です。
記念すべき最初の記事は、
不肖わたくしめが専攻しておりました哲学について書いていきます。
「哲学」ってなんなのよ? という人も、そうでない人も、わたしと一緒に今一度この「哲学」というなんだかふわふわとした言葉について考えていきましょー。
ガイドラインの意味も込めて、先に記事テーマ全体の要点を書いておきますね。
世間で使われる「哲学」という言葉が意味するもの
- 論理的に体系化された、いわゆる学問としての「哲学」
- 経験や直観的な発想を出発点として体系化された「思想」
- 経験・体験から築かれた「人生観」、または「心構え」
このうち、1.と、一部の2.が学術的な「哲学」になりますが、
これも次の2つに分かれていきます。
①過去の哲学の勉強
②自分の頭で論理的に考え抜く態度・行為
それでは、さっそく見ていきましょう。
今回のもくじはこちら~。
1.哲学?ああ、あの小難しくてよく分かんないやつね
1-1.哲学って一般的にはこんな感じのイメージだよね
「哲学」というと、大半の人が大見出しのようなイメージを持ってると思います。
一般的には、「難しそう」とか「理屈っぽい」とか「役に立たない学問」とか言われてしまう悲しいやつです。
まあ、このイメージはある意味では間違っちゃいないんですけどね。
理屈っぽいのは論理に重点を置いているのでしょうがないところですし。
中にはこんなイメージを持ってる方もいると思います。
哲学というのは自分の人生を貫く一本の芯のようなものだ、とか。
人それぞれの人生についての考え方が各々の哲学ってやつだ、みたいな。
これもまあ間違っちゃいないですね。
あるいはこういったニュアンスで使われる言葉でもありますね。
○○の成功哲学、××の経営哲学、△△の恋愛哲学、とか。
この辺は経験から得られた考え方ってだけでなく、ノウハウも含んで「哲学」という言葉を使っているような気がします。
1-2.それで実際のとこ、哲学って何さね?
色んな意味で使われているこいつですが、「哲学ってどんな意味なの?」ってネットとか本とかで尋ねてみると、(本はもの凄くシャイなので何も言ってきてはくれませんが)親切な方がたいてい次のように説明してくれます。
「哲学というのは“愛智学”、つまり“智”を“愛する”学問ということなんだよ」、と。
まったくの素人からすると、「何を言いたいんだおめーは」という気持ちになるんじゃないでしょうか。何を意味不明なことを、と。
お気持ちは分かりますが、残念なことに上の説明は合ってるんですよ。
実際、辞書には次のように書いてあります。
【哲学】
(philosophy)philosophia(ギリシア)は愛智の意。
【哲学】
philosophia(ギリシア)(=智を愛する)の訳語。
西周(にしあまね)が賢哲を愛し希求する意で「希哲学」と訳し、のち「哲学」と改めた。
[大修館書店 明鏡国語辞典 第二版]
1-3.智を愛するってつまりどういう事?
じゃあ「智を愛する」って何なんだよってことになりますが、それについては辞書の説明をさらに細かく見ていくと書いてあります。
簡単に要約してしまうと、哲学とは、
「世界や人生、人間についての根源的な問いを立て、それらについての本質を追究する学問。あらゆる学問の根底を成す学問」
と言う事が出来ます。
しかし、先ほど書いた通り、広く世間一般で使われる「哲学」という言葉にはこんな堅っ苦しい意味ばかりではなかったですよね?
「哲学」という言葉が世の中ではどのような意味で使われているのか。
もう少し詳しく見ていきましょー。
2.「哲学」のダブルミーニング
2-1.世の中で使われている意味を整理してみよう!
世の中で「哲学」という言葉が使われている場合を整理してみます。
- 世界や人生について根本的に考えていく学問を指す場合
- 個々人が持つ各々の人生に対する信念を指す場合
- ある特定の分野・領域において経験的に築かれた心構えを指す場合
ざっとこんな感じです。
「あいつは立派な哲学を持ってる」
なんて言う場合は、だいたいが「信念」という意味合いですよね。
もっと硬い表現をすれば「思想」でしょうか。
しかも個人の「信念」と呼ばれるものは、その人の中で体系立っていることが普通ですから、これは「体系的な思想」という風に言い換えることもできます。
「彼の経営哲学には学ぶものがある」
と言う場合は、単なる考え方というだけでなく、ある種のノウハウというか、手法も含めたニュアンスだと思いますので、「心構え」と言えるでしょう。
もしくは、特定分野についての「心構え」の中には、その人独特の人生に対する姿勢が混ざっていることも多いですから、これは「人生観」とも言えますね。
ということで、上のまとめをもうちょっと整理したり別の言葉で表現したりすると、 「哲学」という言葉が表現しているものは次の3つになります。
- 論理的に体系化された、いわゆる学問としての「哲学」
- 経験や直観的な発想を出発点として体系化された「思想」
- 経験・体験から築かれた「人生観」、または「心構え」
こうやって整理して見てみると、それぞれが意味する事って全然違ってますよね。
それにもかかわらず、3つとも「哲学」と書くことから全部同じものだ、という風に考えてしまう人が世の中には多いように感じます。
哲学学んでた人間としては、「違うんすよ~」と言いたくなってしまいます。
1つの語に2つ以上の意味を持たせることを「ダブルミーニング」と言いますが、世の中で一般的に使われる「哲学」という言葉はまさしく「ダブルミーニング」だと言えます。
だって、それぞれの意味を明確に区別して使われているわけではないんだもの。
それじゃあ普通の方がこの言葉を聞いて、「?」と混乱してしまうのも無理ないです。
2-2.整理したことをもうちょっと細かく見ていこう
そうそう。
2.と3.について少し補足です。
まず3.の方から。
3.は「経営哲学」とか「成功哲学」という感じで使われる「哲学」のことです。
くどいようですが、ここで言う「心構え」とは、ノウハウといったある種の理想的な行動や手法を含めたニュアンスで使っています。
これは明らかに学問ではないですね。
2.の意味合いで使われる「哲学」というものは、およそ誰しも持ち合わせているものです。
3.の意味合いと似ているんですけど、こちらの用法にはノウハウなどの方法論的な意味合いが無い、純粋な意味での自分や人生に対する考え方です。
そういうわけで「思想」なのです。
要するに、人それぞれが持つ、自分を取り巻く世界についての種々様々な考え方のことです。
これ自体も学問とは言えないでしょう。
しかし、ある特定の人物の思想は学問の対象になったりしています。
巷で有名なアドラー心理学についても、個人的にはアドラーの思想と呼ぶべきものだと思っています。
というわけで、学問としての「哲学」というのは、1.の意味で使われる「哲学」と、2.の意味で使われる「哲学」の一部がそれに当たります。
3.中間まとめ
はい、じゃあここまでの話をまとめます!
世の中では人生哲学とか、「自分の哲学を持て」的な感じで使われることの多い「哲学」という言葉ですが、その意味を辞書で調べてみるとこんなことが書かれていました。
哲学とは、「愛智、つまり智を愛する学問」である。
じゃあ「智を愛するって何なのよ?」というと、それは
「世界とか人生について根源的に突き詰めていくこと」
でした。
でも世の中ではそんな堅い意味で使われている場合だけじゃなくって、もっとラフな感じでも使われてるよね?
ということで、世間で「哲学」が使われる場合から、次の3つの意味を洗い出しました。
- 論理的に体系化された、いわゆる学問としての「哲学」
- 経験や直観的な発想を出発点として体系化された「思想」
- 経験・体験から築かれた「人生観」、または「心構え」
3つの内、1.と一部の2.が学問としての哲学だ、というところまでが今回の内容でした。
ここから先は、この学問としての「哲学」についての話になっていきます。
が、それは次の記事でやっていこうと思います。
今回はここまでです!
次回もよろしく!
それでは、また~。