超音波を利用して生きる。コウモリさんは反響定位の達人
もうどーいは。
超音波を感じてみたい折々四季です。
ガの中には後翅から長い尾が垂れている種がいるのですが、7月4日付けの科学誌「Science Advnces」に発表された研究によると、この一見すると目立ってしまう長い尾は天敵であるコウモリから逃げるのに一役買っているそうです。
何でも、コウモリの反響定位の音波を逸らす役割をしているのだとか。
今回はそれに関連して、コウモリと超音波について話していきます。
以下、もくじ~。
1.音波で周囲の状況をチェックする反響定位とは?
あなたは反響定位ってご存知でしたか?
エコーロケーションとも呼ばれるこれは、自分の出した音が物にぶつかって跳ね返ってきた反響音から周囲の状況を知ることを言います。
反響してくる方向や反響音が自分に届くまでの時間によって、音を跳ね返した物の位置や自分との距離を把握することができるのです。
人の目は物に当たって跳ね返ってきた光をキャッチして周囲の状況を見ています。
そうなんです!
反響定位というのはまさに視覚のような役割をしているのです。
音だから聴覚的な奴だろ、と見くびってもらっちゃあ困ります。
2.コウモリは超音波を使ってるから暗闇もへっちゃらさ!
いくつかの種類の動物は超音波による反響定位を利用して暮らしています。
イルカとかクジラなんかがそうです。
夜行性の鳥の中には反響定位を利用している種もいるのだとか。
コウモリもそんな生き物の一人です。
だから彼らは洞窟などの、ほぼ真っ暗闇じゃねーかって所でもビュンビュン飛び回れるわけなんですね~。
そんなコウモリですが、反響定位を利用するのは昆虫を主食にしている小型コウモリ類の方です。
オオコウモリなどの大型種は聴覚よりも視覚を利用して生活しています。目が大事ってことですね!
なんで小型も視覚に頼らないのさ?
そう思われるかもしれませんが、小型種の目は非常に小さいんです。
おっきな目を持つ大型種は周囲を見て状況を知ればいいですけど、小さい目だとそんなに精度が良くないわけです。
しかも暗い所に棲んでますし。
というわけで、小型種たちが超音波による反響定位を利用しているわけです。
そのように進化してきた彼らの耳は薄くて大きいです。
小さな音でもキャッチできそうですね。
種によって異なりますが、彼らが口から出す超音波はだいたい30kHz~100kHzの高周波
になります。
人間の耳では全く聞こえないので、コウモリ主観でどんな風に周囲の状況を感じているのかは分かりませんが、彼らはこの超音波を使って餌を探しています。
たとえ暗くて標的が見えなくても、音を利用すれば居場所が探れるということですね。
そして獲物を捉える直前は、音を発する頻度が高くなります。
3.コウモリは最初から反響定位を持ってたわけではなかった?
コウモリ直系の祖先や、飛行能力を獲得する進化の途上過程を示す化石は、残念ながらまだ発見されていません。
しかし原始的なコウモリの化石から、大昔の彼らの耳の構造を詳細に研究したところ、次のことが判明しました。
それは、彼らが最初から反響定位を持っていたわけではないという事です。
化石になった彼らが語るところから、コウモリは飛行能力をまずは身に付け、その後に反響定位を行う能力を身に付けたという事が分かっています。
4.四季のあとがき
コウモリが超音波を出して、その反響音で周囲の状況を把握している、ということは知っていました。
けれどそのような、音で周囲の状況を知ることを「反響定位」と読んだり、「エコーロケーション」と呼んだりしているのは今回調べて初めて知りました。
いやぁもう率直に言って、コウモリすげーな! ですよ。
本文でも書きましたけど、超音波で自分の周りを知るってどんな感じなんでしょう?
想像できないわけではないですけど、わたしの聴覚が反響定位できるとは到底思えません。
そこまで優秀な耳はしていなさそうです。残念ながら。
ああ、でも、視覚障がい者の方の中には反響定位を利用している方もいるみたいです。
アメリカだと、視覚障がい者の方向けの反響定位トレーニングを行っている団体もあるそうです。
音で周りを知る。
難しそうですけど、習得できたら視覚に頼らなくても何とか生きていけそうですね。
それでは、また~。
ソース